妻の妹夫婦もまさに家族団らんの権化みたいで、家族以外の人との縁を切ってしまったそうだ。やはり彼女も私の妻同様、苦しい人生を歩んで来たらしく、とりわけ家族を大事にする。

芸能人、政治家やスポーツの選手も家族を大事にしている人たちがいる。私の知る限りではあのイチロー。そして最近亡くなられたパウエル元国務長官。優秀なアメリカ国防省の制服組だったが、顔に似合わず家族を大事にしていたとオバマ元大統領が語っていた。家族の支えが立派な業績を生んだことは、もはや周知の事実となっている。

ハチャメチャでありながら、加藤茶さんや志村けんさんもそうだったらしい。大和田獏さんの奥さんもコロナで亡くなられたが、あの仲睦まじさは豊かな団らん生活がしのばれる。いずれも惜しい方々を失ったものだ。コロナの災難は皮肉にも家族団らんの機会を増やしたといえよう。災い転じて福となしたか。毎日がいかに困難であってもなくても、一日を精一杯生きることが必要だ。

私は詩歌や短歌俳句が好きなのだが、特に山本五十六の『男の修行』を愛している。

「男の修行」山本五十六

苦しいことも あるだろう

言い()いことも あるだろう

不満なことも あるだろう

腹の立つことも あるだろう

泣き()いことも あるだろう

これらをじっとこらえてゆくのが 男の修行である

これも色紙に飾っていつも妻と二人で見ている。口には出さないが互がいつも想い合っているのだ。二人が集まれば、家族団らんであり、同じような話が出るのだ。さあ今夜も家族団らんだ。二人で好きなお酒を飲みながら、ああでもない、こうでもないと語り合う。こんな私たちは今本当に幸せだと思う。

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