その姿は、俺にとって新鮮そのものだった。彼らの登場により自ずと入れ替わる様に自分の役割が失せる気がしたので、
「あ、じゃあ、後はよろしくお願いします」
と律儀に一礼し、彼らに狂戦士を任せ離脱したかったが、その前に彼らは無情な命令をくだした。
その命令は、憑依生命体を強制的に無力化する為の策で、取り囲むSPH隊員が揃って全長50㎝程度の大型の銃を構え、一斉に憑依生命体目掛けて銃口を向け、掛け声と同時にそれを撃つ。その銃口から射出されるものは伸縮性と粘着性に優れた特性のゴムのようなバンドテープで、憑依生命体は次々とそれを食らい、ガムテープを体中に巻かれるような状態で身動きがとれなくなっていく。
元来、憑依生命体は生半可な銃や剣では傷を与えることは不可能で、それは戦車の射出口から飛び出す砲弾でも同様だ。よって「彼らを倒す」ことは不可能と称されている為、SPHはこのような「身動きをとれなくする」作戦に出る。確かに、いくら倒せない相手であっても、このように数で圧倒してしまえば、どんなにイカれた化け物でも無力化できる。
真っ向から戦いを挑んだ自分と比べれば、実に効率の良い処置方法だ。俺は感心しながらその光景を眺め半ば憑依生命体を彼らに任せると同時に、本来の目的に戻ろうとする。
しかし、その中で離脱しようとした瞬間、自分がそれを食らう羽目となる。
「……え?」
初めは「バン!」と食らった後、そのバンドテープに対応できなく間抜けな感じだったが、瞬時に事の状況を理解する。 どうやら、彼らには俺も憑依生命体と認識されている様だった。
「え!? ちょっと! ち、違う! 俺は……!!」
べたりと俺の体に貼りつく大きなバンドテープ。そのおかげで利き腕が塞がれる。