私たちの春

しばらくしてユミが突然びっくりするようなことを言ってきた。

「だけど私、将来の仕事のことばかりでなく、例えば恋愛とかもしてみたいな」

「男の人に恋するって、どんなことなんだろうね」

「もう、その人のこと以外、考えられない状態になるんじゃない?」

「恋は盲目状態になるのね?」

「そうよ。そんな状態になってみたいな」

「私は、そんなのイヤよ。恋なんてしたくない。私は、いつも自分を見失わず、しっかり自立した大人の女性になりたいわ。結婚もしたいとは思わない」

「リエは、英語の教師になって、一生独身でいたいのね?」私は尋ねた。

「そうよ。私は他人に振り回されたくないの。恋愛も結婚も自分の時間を失ってリスクばかりがあるだけよ」

「ユミは、どう思う?」私は尋ねた。

「私も結婚は、格別したいとは思っていない。でも恋愛は、してみたいな。小説を書く上でも恋愛経験は大切だと思う」

「そう聞く京子は、どう思うの?」リエが質問した。

「私は自然体でいたい。もし好きな人ができたら恋愛するし結婚もするかもしれない。でも、好きな人が現われなかったら、恋愛も結婚もムリしてする必要はないと思う。ただ一つだけ言えることは、私たち三人、これからもずっと親友でいたいなっていうこと。私たち三人とも、一人っ子でしょ? 高校二年の時からクラスが一緒で、生活環境が似ていて、お互い、理解し合えるでしょ? 私たち、親友であると同時に、三人姉妹でもあるようなものだと思うの。私は、リエとユミのことを失いたくない」

「そうね。私たち三人とも、一人っ子だから、本当に仲の良い姉妹みたいなものよね」

「高校卒業後は、三人とも別々の道を歩むけれど、これからもずっと親友でいたいな」

「私の両親を見ていても、仕事って、厳しいみたい。私たちも将来、大人になって社会に出た時、どんなに厳しい状況になっても、私たち三人、お互い励まし合いながら頑張っていきたいね」

私は二人に言った。

「うん。私たち、これからもずっと親友でいようね」

「そうね。そうしましょう」

私たちは、気持ちを確認し合った。