それからというものの、俺とライトはお互い再会までの戦争で起きた出来事を語りあった。ある一つの出来事以外は……

あっという間に時が流れて、いつの間にか夜が明けていた。

「おっと、そろそろバスも乗れるみたいだな」俺は立ち上がったあと、別れを告げる。

「どこへいく?」

「ちょっと数年海外へ旅しようと思ってね」

「また? 大学に進学してから僕を置いてすぐ海外に行ったよね。勝手に一斑にもいくし、僕は何回振り回されるんだい?」

ライトにいわれてようやく振り回してきたことを自覚した。

それじゃあ、ライトに質問攻めにされても仕方ないだろう。

「なぜギルバートは帰らない」と最後の質問を投げかけてくる。

「勝手なことをして悪かったよ。でもどうしてもいきたいんだ」

「海外はセンター国人のことを嫌っているのにかい?」再びライトの顔が険しくなってくる。

「おいおい、やめてくれよ。俺が帰ってこられなくなると思っているのか?」

「察していたんだね。ギルバートもこの休戦には何か引っかかっていただろ」

「勿論だ。ノース国のような大国が無条件で承諾するとは思えないからな。だが、これは仲介に入ったイースト国がいるから、大人しく条件を呑むようになったと考えた」

「その考察は残念ながら的外れだね」

ライトは腕を組みながら誇らしげにいう。

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