同じ道のドライブ
細い山道を通り湖のほとりを回って
あの女と走った道を、運転して来た
あの女の好きな赤い橋は写真にさえ写した
今、呆然としている。まだあの女を想っているのだろうか?
あの時は緑深き時、野山に飢えたる如く
一寸した景色にもあの女は嘆声を上げた
私は光が樹木に美しさを与えるのに感嘆していた
今、周りは枯れ葉色の山が続くばかりだ
ただ遠くに連なる山々が、まるで中国のように
丸く、突き上がり、青くかすんでいるのが同じだった
このようにして歳月は流れて行くのだろうか?
黒い雲におおわれた湖の富士を暗い気持ちで写した
あの時はあんなにもきれいな姿を現したのに ──
しかし、二人は何故あんな長いドライブをしたのだろう?