冬の曇りに
暗鬱な空に鴉が1羽飛んで行く
憂鬱な気分に引き込まれまいと
必死になって他の事を考えようとする
今、あの女のアパートの前を通って来たのだ
林の中を過ぎると急に目の前が開ける
山が、町並みが青くかすんで
このどんよりとした曇のもとでも
そして人の気持ちに拘わらず、切ないほど美しい
頂上に近づくと雪道になる
純白を汚された踏まれた雪
頂上は厚く清純な雪におおわれてるだろうか?
頂上に着くとなんと日に溶けて泥まみれ
そしてその向こうに、この山より大きく
高く、白く、美しい山が傲然とひかえていた ──