【第3回自分史コンテスト大賞作】「まるで『昔ばなし』に出て来るような山奥です」人生の轍を顧みる
貧しさは人生の花
【第1回】
伊藤 フサ子
幻冬舎ルネッサンス開催「第3回自分史コンテスト」大賞受賞作品!
幻冬舎ルネッサンス開催「第3回自分史コンテスト」大賞受賞作品!昭和20年代、栃木県山奥の自然豊かな場所に生まれた筆者は、慎ましくも穏やかな日々を送っていた。ところが小学6年生の頃、父の事業が立ち行かず一家は莫大な借金を背負うことに。さらに追い打ちをかけるように父は帰らぬ人となってしまった。道は決して平坦ではなかったけれど、この人生に無駄な経験などひとつもなかった。筆者の半生を振り返った本作では、当時の貴重な思い出と記録が色鮮やかに綴られる。※本記事は、伊藤フサ子氏の書籍『貧しさは人生の花』(幻冬舎ルネッサンス)より、一部抜粋・編集したものです。
はじめに
「人生に無駄な経験など一つもない」と言う言葉があります。
私は自分の過去をふり返った時、
「私の人生も、その類から外れていない」と強く実感しました。
そして、改めて自分のたどった道筋に思いを馳せたのです。
私の歩んだ人生は、その轍に激しいデコボコがあります。
その轍をたどると、豊かに恵まれていた生活にも貧しさに耐えた暮らしの中にも、そこにはそれぞれ失いたくない大切な思い出や想いが見えました。
そしてそれはまぎれもなく、私に幸せを運んでくれた人生の花のように見えたのです。
私は今年七十八歳になりました。
その三四半世紀にわたる人生の轍にどんな花が咲いていたのか。それはどんな幸せを運んでくれたのか紐解いてみたいと思います。