四日後。
「おかあさーん!」
「マリィー!」
見た目から六、七歳と思われる女の子が、ベッドに座るソフィーに抱きついた。
「お母さん。もう病気は治ったの?」
「ええ。このおねえちゃんのおかげでね」
ソフィーが女の子の頭を撫でながらそう言ってアンを見た。女の子はソフィーから離れ身だしなみを整えると、ぺこりと小さな頭を下げた。
「お母さんの病気を治してくれて、ありがとうございます」
「い、いえいえ……」
あまりにも丁寧にお礼を言われてアンが恐縮すると、リドリーが
「俺たちの娘なんだ。俺からも礼を言うよ。ありがとう。ほんっとに…………」
と、最後まで言い切る前に涙ぐみ嗚咽を漏らした。ソフィーはそれを見て「ふう」とため息をつき、「ふふ……」と笑った。
「アンさん。私からも礼を言うわ。本当にありがとう」
ソフィーも深々と頭を下げた。
「あ、あああ、あの……私は別に……。にっ!? 人間にはもともと自己治癒能力というものがありまして、ソ、ソフィーさんは腎臓の機能が低下していたようで、内臓全般の機能を整え、そ、それを高める植物を調合しただけで──」
「なあ~に言ってんだかわかんないよ!」
アンがどもりながら説明をしているその途中で、後ろに立っていたメリンダがバン! とアンの背中を叩いて説明を打ち切った。
「要するに! あんたが持ってきた薬やら食材を食べて、ソフィーが元気になった。それが全てだよ。あんたのおかげさ」
「メリンダ。今までマリィを預かってくれてありがとう」
「いいんだよ。困った時はお互い様ってね」
ソフィーの負担軽減と病気がうつるといけないからと、近所に住むダグラス家に預けられていた娘のマリィを送り届けたメリンダ・ダグラスと、リドリーたち家族が談笑する。そんな人たちの様子を、アンは眩しそうに眺めていた。