【前回の記事を読む】キリスト、ブッダ…世界的な宗教指導者が「断食」を経験するワケ

第三章 求道と断食

私の断食の体験

減食から本断食に入りきつい日々が始まりました。各自部屋で過ごす時間が多くなります。断食による反応で気分が悪くなる人や頭が痛くなる人、腰が痛くなる人等その人の今まで食べてきた食歴によって色々の体の反応が出てくるのです。眠くてたまらなくなる人や逆に夜になると全く眠れなくなり苦しむ人も出てきます。

何もしないのに腰が痛くなることもあります。体内で分解出来ないでいたものが、内臓が休まる中でその分解出来なかった物質を急いで分解しているような感覚を受けます。

いつもは食べてばかりいるためにその食べたものを分解処理するだけで内臓諸器官は精一杯だと思うのです。それが余計なものが入らないからじっくりと身体全体の中の毒素を分解し始める。ですから今まで体内で掃除できていなかったものがじっくりと掃除をし始める、そんなものが断食だと思います。あまり科学的な説明は出来ないのですが今までの体験からそう思います。

本断食から10日経ちました。かなり辛い毎日で早く終わらないかなと、そればかり考える毎日でした。廊下をゆっくり歩いていたら(エネルギーがないのでゆっくりしか歩めません)ふわーっと横に倒れていきました。これはまずいと思い吉田先生に相談して本断食は11日で終了することにしました。断食の目的の一つに宿便を抜くということがあります。

今まで生きてきた長年の体内のゴミが腸壁にこびり付いていると言うのです。

宿便が抜ける

断食をするとそれが宿便として出ると言われ、その便が排出するとあらゆる病気も治ると言われているのです。(内視鏡では見えないと言う学者もいますが)そのため道場では自然に宿便が出ない人には下剤を与えます。私も錠剤を戴き飲みました。

11日目のことです。昼遅くに近くのトイレに入りました。久し振りに排便がありました。見ると濃いチョコレート色またはコールタールのような今まで見たことのない便の色でした。何か特別な爽快感を覚えてトイレの扉を開けた時、なんとなんの変哲もない目前の信貴山の山々が光っているではありませんか! あっ!と驚きと共にこの世の美しさに魅入られました。

呆然とした時間でした。「そうか本当はこの世は、とても美しいのだ。自分が汚れていたためにその美しさを見ることが出来なかったのだ」それが宿便が出て初めて分かったのでした。

うれしくて仕方ありませんでした。