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私は営業マン──20年間の会社勤めで身につけたこと

腫瘍摘出手術を受ける

私は中学生の頃から血圧が高い家族性の高血圧と診断され、リコーに入社する以前からT大学病院に通っていました。

高血圧が原因となって生活習慣病などを招かないようにする予防的措置です。高血圧自体はあまり気にしたことがなかったのですが、ちょっと体重が増えたりすると、自分でもわかるくらい調子が悪くなることがあり、高血圧が日常生活に影響を与えることは自覚しています。あるとき、レントゲンを撮ると、胸部の真ん中に腫瘍が見つかりました。

診断は「縦隔(じゅうかく)腫瘍(しゅよう)」。左右の肺のあいだ、胸膜によって隔てられた部位にできる腫瘍です。

「ほうっておくと、無筋力になるから、早めに切ったほうがいいよ」

内科の先生から怖いことを言われ、仕事は気になったものの、手術することにしたのです。手術の結果、腫瘍が悪性でないことがわかり、ホッとしました。

特別に難しい手術ではなかったようですが、肋骨の下にある腫瘍を切除するために、胸を大きく切り開きましたから、すぐに仕事に復帰するというわけにはいきませんでした。いまでも胸には縦に走る大きな手術痕が残っています。職場復帰したのは、手術から3週間後のこと。

「竹本さん、どうしてたの?」

「手術したんだって?」

「やせたね。体はだいじょうぶ?」

久しぶりに取引先の大学に行くと、いろいろな方から声をかけられ、気にしてくださっていたこと、私の存在が大学業務を行ううえで重要な位置を占めているらしいことを実感し、うれしくなったものでした。