カァテンのすき間から
昨夜の雨が
今朝晴れて
森の小径に
ひなぎく咲いた。
浮かれ仔山羊め 駈けけぬけて
その花 ぽきんと踏んでった。
聖堂がえりのルチア様
裾をつまんで かがみ込む。
すいかづらの繃帯
添え木はささのめ
誰も知らない夏の朝
木沓の音だけ お空に消えた。
からだが弱かったり、心が弱かったりの私は、思いがけなく長生きをして、もう80年も世の中を見ていますが、あのルチア院長様ほどの品格と寛容と威厳の備わった方には出会いません。この詩は、或る日のルチア様を、こっそり見て、感激して書いたようです