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作家・詩人 Francis Carco
フランシス・カルコ 1886.7.3 ヌメア─ 1958.5.26 パリ
ニューカレドニアのヌメアで政府検査官の息子として生まれたフランシス・カルコは5歳までそこで過ごした後、家族でフランスに戻りニースで暮らします。1910年パリに出た彼は、モンマルトルを訪れるようになり、キャバレーの「オ・ラパン・アジル」に通い、フレデ神父の紹介でボヘミアンたちのテーブルに招かれ、アポリネール、マックス・ジャコブ、ユトリロそしてマリーたちの仲間となります。
1926年彼は『モンマルトルからカルチェラタンへ (井上勇 邦訳題 巴里芸術家放浪記)』を上梓、亡くなってしまったアポリネールやモディリアーニとの貧しくも幸せな時代を回想します。1922年カルコはマリーに詩『鏡』を捧げています。
ベッドの上で傾く鏡の中で
俺はお前の重そうな体と、美しい脚を見る...
疑わしき刻が部屋の中に広がってゆく
日の暈のように、あちこちに、鈍く光る
同じようにあちこちに、それは下卑た香り、
それは玉虫色の揺らめき
鏡が受けて反射する
ゴチャゴチャに混ぜ合わせて投射するために、
俺たちのエクスタシーを通り抜け、震えて、煌めく
2人が決して結ばれないことを描き出すように
狭くて陰気な部屋は、お前の思い出
それは俺が愛したお前の思い出
(吉澤公寿訳)