【前回の記事を読む】30年飲酒を続けた筆者が語る「禁酒のための4つのステップ」
第二章
アルコール依存症を克服する為の四つのステップ
① 思考の変化を起こす
(二)知識を増やす
すなわち、道具があれば素手よりも効率は良くなるように、知識があれば理解力は一層深まるということです。断酒は何故難しいのでしょうか。いえ、難しくはありません、足りないのは知識です。あなたに必要なのは知識なのです。
私の経験で例え話をします。
私は四国の愛媛県で育ちました。当時四国では一般的に納豆はあまり食べない物でした。もちろん給食にも出ませんでしたし、家庭でも納豆が食卓に並んだことはありません。
中学生の時、納豆の存在を知り母親に無理をいって買ってきてもらいました。私は三人兄弟の真ん中でした、兄弟三人で生まれて初めての納豆を口にしました。
三人ともひと口目を口に入れました。口いっぱいに広がる納豆のとんでもない悪臭に三人で顔を見合わせ、三人とも吐き出し、三人で一斉に洗面所に駆け込み、争って口をすすぎました、笑。
これは、私たち三人の中に「この匂いは、腐ったものの匂い」という知識しかなかった為です。生ゴミのゴミバケツの底に溜まった汚水と同じ匂いがしました。
その数年後、高校を卒業した私は自衛隊に入り教育隊に行くことになりました。一日三食とも大食堂で食事を摂るのですが、毎朝必ずセルフサービスで市販の紙カップ入りの納豆が置いてありました。
もちろん私は食べませんでしたが、全国から集まった同期たちのほとんどが美味しそうに毎朝納豆を食べるではありませんか。あまりにもみんなが美味しそうに食べるので、好奇心から私も人生二度目の納豆に挑戦しました。すると……。
「あれ、美味しい」
少し違和感はあったものの不思議なことに普通に食べることができました。そして、食べる毎にどんどん美味しいと感じるようになり、一週間もしないうちに納豆が大好きになりました。
当然ですが納豆は発酵食品特有の腐ったような匂いがします。正常な脳であれば本能的に危険と判断するはずです。しかし小さな頃から両親が美味しそうに食べていたりして「安全な食べ物だ」という「知識」があることで、なんの疑いもなく食べられるのです。知識に助けられ、納豆は美味しい物であり腐ったような匂いに感じることもありません。
「知識は力なり」です。
ブルーチーズなども苦手な方は多いと思いますが、これもチーズについての知識を増やせば増やすほど美味しくなります。