2-2 With The Beatles
『プリーズ・プリーズ・ミー』と同年の一九六三年十一月、ケネディ大統領が暗殺されたその日、日本では初の衛星中継に成功し、イギリスではビートルズ二作目のオリジナル・アルバムがリリースされます。
『ウィズ・ザ・ビートルズ』
このアルバムは『プリーズ・プリーズ・ミー』の三十一週目の一位を自ら阻止したアルバムとなり、そのまま二十一週連続一位となるのです。それは前作から続けて、ビートルズがイギリスのヒット・チャートで五十一週連続一位ということです。前作に比べ、ロック色、ライブ感や疾走感が強くなったように感じるアルバム。このアルバムでジョージ初の作曲や、リンゴ初のボーカル曲など、二枚目にして既にバンドとしての可能性を広げ出した内容となっています。
リンゴはこのアルバムからラディックを使用。ロック・ドラマー=ラディックは、間違いなくリンゴの功績でしょう。全十四曲の中から抜粋します。
『イット・ウォント・ビー・ロング』
もともとシングル曲として作られたらしいのですが、失敗への不安から、アルバム収録のみになったのです。―けれど、失敗することはなかったでしょう―。ジョンの歌い出しとほぼ同時に演奏される、歯切れ良く重めの音を奏でるギター。そしてすぐさまコーラスの「イエー、イエー」が登場。サビは終始このコーラスとの追いかけっこで、インパクトはかなりあると思います。(黄盤収録)
『オール・マイ・ラヴィング』
流れるような美しいメロディが印象的な曲ですが、かなり短時間で仕上げられた曲。ジョンの三連符ギターのカッティングを始め(演奏が難しく、コーラスを休んでいる部分もあります)、フロント三人の複雑な演奏技術が、綺麗に纏め仕上げられています。そしてこの軽快なメロディに、しっかりとリズムを合わせるリンゴのテクニックも流石です。どれが欠けても、この“流れるような軽快で美しいメロディ”は演出出来ません。ジョンは後にこの曲を
「残念だけどポールの曲」
と述べ、その理由を
「めちゃめちゃ良い曲だからだよ」(赤盤収録済)