【前回の記事を読む】当時としては珍しい…全曲オリジナルのアルバム「疾走感溢れる名作」

2-3 A Hard Day’s Night

『エニイ・タイム・アット・オール』

この曲はジョン自身『イット・ウォント・ビー・ロング』に似た曲というほど、似たコード進行の曲。リンゴがただ一発叩いただけのようなイントロは、競馬のスタート・ゲートが開くかのように、一気に疾走感あるメロディへと続きます。

この様な歯切れの良い軽快な曲は、ジョンが作ると後半メロディが高くなりやすく、その部分をポールに任せるというのはお決まりのパターンになっています。サビでタイトル部分を二回続けて歌う箇所は、一回目がジョン、二回目がポールです。

イントロのリンゴのドラム、ポールのピアノ、そしてジョンとジョージで四本のギターを用い、ボーカルもダブル・トラッキングで声を重ね、非常に厚みのある曲になっています。(黄盤収録)

そして、アルバムの最後の曲

『アイル・ビー・バック』

ジョンとジョージのアコースティックギター(ホセ・ラミレス)がリズムよく弾かれる中、こちらも相反して、ジョンの切なく哀愁漂うメロディが乗せられています。

この曲は、失踪後十七年ぶりに会ったジョンの父親へ向けた曲。母親も別の男性と暮らしていたため、ジョンは伯母の家で暮らしていたのです。そのような事情を知ると……メロディが余計に切なく聴こえてきます。(黄盤収録)