その後、仲よくなって話を聞いたところ漁に出るための船舶の整備を行っているのだそうで、それで車にも詳しいとのことだった。海の傍で生まれ育ち、仕事もプライベートでもずっと海に関わってきたと楽しそうに語るその男性から、心から海を愛していることが伝わってくる。その瞳は太陽に照らされて光る海面のようにキラキラと輝いていた。何か修理のお礼を……と思っていると、

「お昼、これからか?」

と、突然聞かれて頷く。だったら、仲間の漁師が魚をおろしているお寿司屋さんに行ってあげてよ。察しがよいことに驚き、私たちにメリットのあり過ぎるお礼で申し訳ないなと思いつつ、お店の情報を聞く。そのうちに

「オオクボさん、お電話です」

と事務員らしき人がその男性を呼びに来たので、慌てて再度お礼を告げたのだった。早速私たちは店舗情報をカーナビにセットして再出発する。珍しくリサが運転すると言い出したので、私は助手席でナビ係だ。思いの外道が空いておりスムーズに着いたので到着したのは開店時間よりまだ早かったが、既に開店を待つ人が何人か見えて驚いた。お客さんは地元の人がほとんどと聞いていた通り、止まっている車は地元ナンバーが多いが、地元民にこれだけ愛されるお寿司屋さんなんて……これは期待できる。回転寿司のようで、ボックス席とカウンター席が大将を囲うように設置されている。家族連れなどの大人数でなければボックス席には座れないようなので、私たちはカウンター席でメニューを見始める。

「すごい!本日のおすすめが、ぜんぶ境港で水揚げされたばかりのものだよ!」

「食べたことないネタもある!チャレンジしてみよう!一皿二貫のようだけど、一貫ずつ分けるのはどう⁉」

こうして私たちは、はしゃぎながらさまざまなメニューを平らげた。その後は当初の予定通り、赤兎神社にお参りし、砂丘を観光した。

赤兎神社は神話の伝えもあり、なかなか神秘的で雰囲気のある神社だった。楽しい時間はあっという間で、すぐに帰りのフライトの時間が近づいてしまう。帰りは鳥取空港を利用する予定だが、こちらはこちらで鳥取砂丘コナン空港という愛称があるという。

島根も鳥取も、素敵なネーミングで観光客を惹きつけるなあと感心する。いろいろな思い出に浸りながら飛行機に乗り込んだが、徐々に現実に引き戻されていく。明日からまた仕事だ。気合いを入れなくては。旅行のこととか、ショウタのことなんか考えていたら、成瀬さんからまた嫌みを言われそうだ。

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