【前回の記事を読む】子育て…「脅すしつけ」や「交換条件によるしつけ」はどのような結果をもたらすか?

期待させるしつけ

今努力すれば必ずよい結果につながるというしつけであり、今我慢すれば必ず報われるというしつけです。

「よい学校に行けば、将来幸せになれるよ」「努力は必ず実るよ」と言って激励するやり方があります。しかし、世の中はそんなに甘くはありません。

人一倍努力したにも関わらず、就職も仕事も思うようにいかず、「こんなはずではなかった」という事態になったときに、期待と背中合わせの「ガッカリする」挫折体験が待ち構えています。「嘘じゃないか!」と、もっていき場のない気持ちや、認められなかった怒りを親に向け、親を責めることで不安や怒りの()(ぐち)にすることにもなりかねません。自責感や自己評価の低下、無力感、意欲低下にもつながります。

親のほうも「あなたの努力が足らないからでしょ!」と反論すれば泥沼状態になります。“世の中は結果がすべて”、“終わりよければすべてよし”という言葉がありますが、結果が出ようが出まいが、努力することそのものに価値があるという考え方を伝えることが必要であり、結果よりも努力をしている姿を評価することが大切でしょう。結果が出れば儲けものですから。

有名な数学者の秋山仁先生の言葉があります。「努力は報われず、されどチャレンジせよ!」です。もう少し詳しく引用しますと「努力は報われず、正義は滅びる。だけど、それでも努力するのが美しい人生だ」です。

何ごとも諦めないで努力を続ける気持ちが大切というこの言葉には、暗に「いつか報われるかも?」という言葉が隠されているかもしれません。諦めないくじけない前向きな気持ちと、そのような前向きな態度を認められる体験がその後の人生に役立つことを伝えたいものです。