2008年
フランスでうんざり
フランスでいらいらしたり、うんざりすることが多いのがサービスだ。役所はもとより民間のサービスでも、時間は守らない、自分の非を認めようとしない、客の要望ではなく自分の都合を優先するなどなど、あげたらきりがない。こうしたサービスの質の高さにおいて日本は世界に冠たる国ではないだろうか。
フランスでも特に公務員は最悪である。いばっているし、愛想のかけらもない。先日も、更新した滞在許可証の期間が間違っていることに気づき、会社のフランス人から県庁の担当者に電話をしてもらったことがあった。
「間違いだった、写真を二枚持ってきて欲しいと言っている」ということだったので勤務時間中に抜け出して行ってきた。
「県庁で何と言ったらいいか、書いてくれる?」とフランス人に頼んで、“先日、滞在許可証の件で電話しました。新しい滞在許可証の期間が違っていました。あなたはこの責任は自分にあると言いました”という台詞を紙に書いてもらった。
ところがそれを持って行き、紙に書いてもらったとおり言っても、なかなか非を認めようとしない。こちらは先方の言っているフランス語がわからないので、ひたすら同じことを主張し続けた。
係員はようやくわかったと言い、新しいものを作ってくれることになった。さてそれから「写真が三枚必要だ」と言い出した。
「二枚と言われた」
「いや三枚なければだめ」
「そんな二枚しかない」
「あそこにセルフ写真コーナーがある」
「わかった」としぶしぶ引き下がる。
フランスのセルフの証明写真機(日本にもある)を使うのは初めてだ。表示も音声もフランス語なので、適当に見当をつけてボタンを押してみる。動かない。ようやく先にお金を入れないとダメとわかる。
ところが五ユーロの小銭がない。外ではいらいらしながら待っている人が。とにかく両替しなくてはならないので仕方なくその人にゆずって、県庁の受付に「両替してもらいたいのですが」というと、「ここではできない、外に出て左に行くと店があるからそこで両替をしてくれる」と言われる。やれやれ。
ところがなかなかその店が見つからない。しばらく探してようやくスーパーを見つける。両替してもらって、セルフ写真機に戻ると他の人が撮影中。
カーテンのすきまからどうやっているか観察。その後ようやく写真を撮ることができたのだった。
それを持って窓口にとって返す。順番待ちの人のすきまに割り込み、「写真を撮ってきた」と渡し、ようやく仮の証明書を発行してもらう。
ふ〜! ここまでのやりとりで二時間以上を要した。万事がこの調子である。
郵便局から宅配便を届けに来たという通知がアパートのポストに入っている。“留守だったので次は何月何日の何時〜何時に来る”というメッセージだ。その指定された日、時間どおりに待っていてもいっこうに来る気配がない。
こうした待ちぼうけになることはフランスでは日常茶飯事である。スーパーのレジが混雑して長い列ができていても、別の店員が他のレジを臨時に開けて対応するなどということはまずない。自分のレジの係は何時からだからそれまでは関係ないと思っているのだろう。
だがそんな時でも、フランス人は辛抱強く待っている。「仕方がない、まあ、こんなもんさ」という感覚だろうか。とまあ、一事が万事こんな調子である。