完敗と惜敗の法則
惜敗は不運や誰かのせいにされるから、再び敗北する可能性をもたらすが、完敗はまったく新しい発想、方法や技術が生まれる可能性をもたらす。
完敗と惜敗の法則 解説
私は長くアパレル企業で働かせてもらった。ファッションには流行があり、また、気候にも影響を受けるから、準備した商品が予定どおりに売れるとは限らない。大きな在庫を残すこともあれば、商品が足りなくて売り逃すこともあった。
興味深かったのは、そういう失敗の受けとめ方だ。デザイナーのせいにしたり、暖冬を理由にする「惜敗」で済ませる人が多かったが、なかに、「ソロバンの『ご破算で願いましては』をやるべきじゃない? デザインや価格の問題ではなく、世の中が変わっちゃっているのに、我々自身が気づいてないんじゃないの? ここはゼロから考えるべきじゃない?」という人がいた。
世の中の大きな流れに乗れるのは、こういう人だと思った。
おめでとうの法則
結婚は人生の墓場だと公言しているくせに、結婚式の祝辞では「おめでとう」という。
おめでとうの法則 解説
独身だった頃、既婚者の先輩諸氏から「結婚は人生の墓場だと知っているか? 結婚なんかするもんじゃないぞ」という助言を多く頂いた。
そのなかの何人かは私の結婚式にもお越しくださったが、誰一人として「結婚は人生の墓場です。お気の毒です」とはおっしゃらなかった。
当時はこれも「本音と建前」かと思ったが、時を経て、映画の最後に王子と結ばれたシンデレラを祝うように、皆さん、私たちの恋愛が実ったことを祝い、「おめでとう」と言ってくださったのだと分かった。だからといって、その日から始まる結婚生活が幸せになるとは限らない。
そうなれるかどうかは、私たちの努力次第ということだったのだろう。