【前回の記事を読む】未成年の実の子どもにお酒⁉ 「恐ろしい母」との生活
第2章 天然だったけど頑張る母
でも、これだけじゃない。他にも食べてはいけないものをよく作っていた。中が硬くてトンカチでも割れなかったシュークリーム。塩と砂糖を間違えたシチュー。メロンを買ったつもりで、カボチャを買って来る。塩、砂糖、小麦粉、片栗粉、白玉粉、団子粉などの粉物は間違えることが度々。食事はいつも大丈夫かなと心配しながら口に入れていた。
またある時は、部屋に来て、母が
「小指切っちゃった。どうしよう」
振り向いたら、小指を切り落として。小指と小指のあったところを消毒して、すぐ近所の整形外科に行こうと準備して。初期対応がよかったので、難しい手術だったらしいが成功して、指はまたくっついた。
また、大学の合格発表の日。
ウインドーショッピングをして遅くなって行ったらなんと撤去前で
「あった、あった、あれあれ」
「ないよ、落ちたんじゃない?」
指をさして、あれあれ
「ないよ」
しばらくした頃やっと見つけてくれて。
「合格発表に間に合って、よかったね」
「普通、おめでとうとか言うものよ」
「きっと誰かが言ってくれるよ」
(母からは、おめでとうは、ないのね)
この日は気分がよかったらしく、ウインドーショッピングではなくスーツを何着か、服や、コートを買ってくれた。これが母からの、おめでとうなんだと思った。
また、家に帰ったら、ちょうど庭に水をまいていて、
「おかえり」
そのままホースごと振り向いて。おかげで私はホースの水でびしょびしょ。災難だった。
うちの家では、漫画にしか出てこないようなことが起こるので、毎日が冒険みたいだった。