「あ、ジンちゃんごめん、痛かった?」

結衣はしゃがみこんだ仁を気づかい手をかして仁を立ち上がらせた。

「痛かった、でも僕がよく見ていなかったからだね、ごめんなさい」

仁は結衣に頭を下げて謝った。

「ごめんね、私も気を付けるね、じゃあもう一度いくよ、エイ」

結衣は仁に受けやすいように手刀を打ち込んでいた。仁も今度はしっかりと結衣の手刀を手首で受けていた。先生も心配そうに見ていたがあえて口を出さずに子供たちに任せているようだった。

「はい、仕手、受け交代、こら清、ちゃんとしなさい」

先生は柳下清がふざけて結衣にちょっかいを出そうとしているのを叱った。

「キヨちゃん、ちゃんとして、ふざけちゃ駄目」

舞は真面目に稽古をしない清を叱った。

「だって、足が痛いんだもん」

清は足を引きずっていた、どうやらどこかにぶつけたようだった。

「大丈夫? 見せて」

結衣が稽古を途中で止めて清の足を見るために近づいてきた。清は何故か結衣から逃げるように背中を見せると走り出した。

「こら、キヨちゃん、じっとして、早く見せなさい」

結衣は後ろから清を捕まえ羽交い絞めにした。

「……だって、痛くするでしょ? 結衣ちゃんは乱暴だから」

「大丈夫、優しくするから」

結衣はニッと笑いながら清に話かけた。

「ほら、ジンちゃん、助けてよ」

清は仁に助けを求めた。仁は結衣の方を見るとお手上げのポーズをとっていた。

「そんなぁ、助けてよ」

【前回の記事を読む】日本人が災害時にもパニックになることがなく、礼儀正しいワケ