後ろで大声がしたので振り返ると、ボブが転んで猪に追いつかれ鋭い牙で突かれていた。ボブは近くにあった棒を手に必死に抵抗しているが、もう血まみれだ。見つめていたケントとマイケルは成すすべもなく固まっていた。
すると突然銃声がしたのだ。猪は慌てて逃げて行った。たまたま通り掛かった猟師のおじさんが銃声を鳴らしてくれたのだ。二人はすぐさまボブに走り寄り、ぐったりした体を抱えた。
「ボブしっかりしろ。もう大丈夫だ」
ボブのシャツは猪に突き破られ、血まみれでピクリとも動かない。
「マイケル、急いで山を下りて救急車を呼んできてくれ」
マイケルは山を駆け下り家に飛び込んだ。
「大変だ!」マイケルは肩で息をして中々言葉が出てこない。
「どうしたの。落ち着きなさい」
「ボブが、ボブが!」お母さんはマイケルの背中をさすりながら、
「ボブがどうしたの」
「猪に襲われた、死んじゃうよ、早く助けて」
「ボブはどこにいるの」
「家の裏山」
お母さんは救急電話を掛け裏山へ急いだ。
すぐに救急隊が現地に到着し、病院へと搬送された。街の中心にあるセンター病院に到着しすぐに手術が行われ、手術は五時間にも及んだ。ケントとマイケルはただただ祈るばかりであった。二人にとって気の遠くなる時間が過ぎた。
そしてやっと先生が手術室から出てきてお父さんに無事成功した事が伝えられたが、まだまだ安心出来る状態ではない。ケントとマイケルはベッドのそばで祈り続けた。翌日の朝ボブの目が薄っすらと開いた。
「ここはどこ」
みんなベッドを囲み天を見上げた。
「ああ神様」
その後ボブはみるみる回復し一ヶ月も経つとしっかり歩けるまでに元気を取り戻したのだ。三人は何もなかったかのように、秘密基地へと向かっていった。