【前回の記事を読む】「20歳までは、生きられないかもしれません」産まれたばかりの赤ん坊に医師が告げた現実
1章 生まれてきたのは、心疾患の赤ちゃん
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6月中旬。私は生後2か月で、生まれて初めて家に帰った。
「おかえり」
赤ちゃんと過ごす毎日への希望と、病気の心配が半分ずつの、ずっと待ち望んでいた新生活が始まる。秋が過ぎて、冬になると、生まれたばかりの時はとても軽かった体も少しずつ大きくなり、まず生きることが全てだった入院生活とは大きく変わった。寝返りができるようになり、自分で座れるようになって、振り回したおもちゃを頭にぶつけて泣いたりもする。
けれど、心配事も増える。楽しそうに笑っているかと思えば、夜は泣いてばかりの毎日。病気の影響で、泣くとすぐに、死んでしまうのではないかと不安になるくらい顔が真っ青になる私を、なんとか泣き止ませなければと、母と父は必死になった。
「ドライブに連れて行ったこともあったよ」
「夜に?」
「そう、深夜に」
思い出話をすると、母は懐かしそうに笑った。