帯広は言わずと知れた大規模農業エリア。大型のトラクターを何台も所有する豪農が存在する。JRの特急おおぞら(札幌―帯広―釧路)に乗っていても札幌―帯広間は背広姿のビジネスマンも多く農業等に関連するビジネスが盛んであることをうかがわせる。
僕らは8月の最終週に訪問したがあちこちにラップサイレージが転がっていた。ラップサイレージとは刈り取った牧草を2m程度の円筒形状に固めラッピングしたもので、この中で牧草の発酵が行われ冬場の牛のエサとなるもの。この一つ一つがサイロの役割を果たしているとも言える。北海道ならではの光景で面白い。
月並みだが僕らは牧場で乳しぼりを体験し、その濃厚な牛乳を頂き、その牛乳で作った濃厚なアイスクリームを食べた。牧場の真ん中で子供達と手を広げて「デッカイドオ~ホッカイドオ~」(昔、CMで聞いたような……)と言いながら北海道の涼しい綺麗な空気をいっぱい吸いこんだ。
また十勝川でラフティングにも挑戦してみた。前日纏まった雨が降り開催が危ぶまれたがギリギリOK。逆にこうなると夏にしては水量が多くスリル満点となる。ラフティングは多くの場合、雪解け水が豊富な春先が面白いのだが、それに近い状態に。
訪問した時期が8月の最終週の平日だったのだが、ラフティングのインストラクターに「東京から来たの?」と聞かれた。北海道では夏休みが短く(逆に冬休みが長い)、この時期は子供達はすでに2学期が始まっているので地元の子でないことがわかるのだという。お昼は白い花が咲く蕎麦畑の中にある蕎麦屋で美味しい新得そばを頂いた。花が終わり実を収穫し新そばが出てくるのは秋以降なのでそういう意味では少し残念……。
北海道、特に帯広付近は雄大で道がどこまでも真っ直ぐ続いており、ついつい車のスピードを出してしまう。会社の後輩は学生時代、車のスピードを出しすぎて道路からはみ出て一回転して屋根から畑に着地した経験があると言っていた。それに比べれば大分ましだが、新得付近で私は生まれて初めてスピード違反で捕まってしまった。真っ直ぐな道で制限時速50㎞のところで70㎞くらいは出ていたと思う。木の枝の影で見え難くなっていてパトカーの存在に気が付かず「ヤバイ!」と思ったが時すでに遅く……。
我々はパトカーに路肩に誘導され、私は30分程度かけてパトカーの後部座席で幾つかの書類に記入した。私の脇を私が出していたと同等以上と思われるスピードで車がビュンビュン通っていく……。「お巡りさん! あっちの車の方がもっとスピード出てますよ!」と心で叫びながら私が手続きをしている間、小学生の子供2人は「パパがお巡りさんに捕まっちゃった……。どうしよう……。」と大変心配していたそうだ。
手続きが終わりその後の新得―札幌間のドライブでは、かみさんと2人の子供は絶えずスピードメーターをのぞき込み「パパ! スピード出しすぎないで!」と私は何度も怒られた。
私はゴールド免許の時は近くの石神井警察の隣のプレハブ小屋の免許更新センターで更新手続きをとることが出来る。しかし今回は前記出来事によりそれが許されず、府中の免許センターまで行くこととなった。やや高めの更新料を支払い「スピード違反等で引き起こされた交通事故により被害者も加害者もどれだけ辛い思いをするか」ということを教え込む特別な講習も受けることとなる。
最後に、さだまさし氏の「償い」の歌が流れ講習は終了し重々しい気持ちのまま新しい免許証を受け取った。