【前回の記事を読む】過去問が4000円?それでは受験生は買わないと女帝は独断で…
国田克美という女
久船副学校長に一年分の過去問題を千円で販売することを具申することなく秘かに販売することにした国田は、学校事務員には過去問題を千円で販売した代金は、教務主任の自分に届けるように指示した。そうすることにより、雑収入による金銭管理を自分がするように認めさせようとした。もちろん、村山、久船には内緒にすることにした。
このようにして学校運営のすべてを任されていることを利用して、国田は金に執着するようになった。現在の学校事務員は国田の言い付けを百%聴く耳を持っているわけではないため、何とかして退職させたい気持ちである。もし、来年三月に新しい事務員が採用されれば、国田は彼女に命令して学校会計において奸智に長けた振る舞いをしようと企図しているのである。
毎年十月になると前期授業が終了して、学校内の試験シーズンとなる。この時期、国田は三年生の試験結果に注目していた。開学して三年目であるため三年生は本校の最高学年である。三年生になるまでに、すでに五人が退学し、一人が留年しており、四十二人入学したが、三年生は現在三十六人である。
国田が三年生全員の成績を詳細に調べたところ、七人は一年生、二年生の全科目の成績の半分以上が「可」と評価されている。本校の学則施行細則によれば一般の大学や専門学校と同様な成績評価基準である。すなわち、その基準は優(百〜八十点)、良(七十九〜七十点)、可(六十九〜六十点)、不可(五十九〜〇点)となっている。
可の評価は一般的には、科目試験で五十九点以下の学生が再試験を受けて可(六十点)の評価をされているものが含まれており、可の評価が多い学生は再試験を受けている可能性が高いと推定される。
このような学生を簡単に四年生に進級させると、看護師国家試験を受験させても不合格になる可能性がある。勉強する習慣を教育しなければならない。そのためには留年させても良いと厳しい方針を貫くことを国田は考えた。したがって、専任教員や各科目の講師の先生に対しては試験は素点で評価し、加点をしないようにお願いしていた。