【前回の記事を読む】「次の結婚では本当の幸せをつかんでみせる」二人の結婚生活はすぐに破綻を迎える……

淳美の大胆さ

光彦から急な出張が入って帰れないという連絡が入った。淳美は光彦があかねと会うことを確信した。光彦のために自分は尽くしてきたつもりだ。

それを裏切ったのは光彦だ。あかねの存在も淳美にとっては大きなストレスになっていた。いつもあかねに操られている自分にうんざりしていた。

あかねに対して自分は何も悪いことはしていない。それなのに、あかねは自分に対して悪意丸出しの行動を取ってきた。光彦とあかねに対する怒りに体が震えた。

人間不信に陥った自分の悩みを真剣に聞いてくれるのは春樹だけだった。光彦が浮気をしているのだから、自分が浮気してはいけないという理屈はない。あかねだってそう言っていたではないか。

「今日、主人は出張で帰ってこないの」

淳美が春樹に言った。淳美はホテルの入口で一瞬ためらいを見せたが、春樹の優しい導きを受け、開き直ったように早足で中へと入っていった。

シャワールームから出ると、春樹はすでに上半身裸でベッドに横たわっていた。淳美は春樹に誘われるままに春樹の脇に腰かけた。

後はただ春樹に身を任せていれば良かった。やはり手慣れているらしい。淳美の中に春樹の優しさと激しさが波のように交互に押し寄せてくる。

光彦では味わえなかった女の悦びに、淳美の体と心は春樹に溶け込んでいった。

とうとう一線を越えてしまった。しかし、淳美には後悔の念はなかった。淳美は自分の中にこんな大胆さがあることを初めて知った。

「淳美、僕は淳美のことを本気で愛してしまったみたいだ」

春樹が淳美の耳元で囁いた。

「ご主人と別れて、僕と結婚してほしい」