海辺の宮殿は全てタイル張りなので、お掃除の後は濡れていてとても滑りやすいので注意して下さいと、女中さん達に言われたのですが、おっちょこちょいの私はすってんころりん、お尻を嫌というほど打ってしまいました。

クリニックへ行ってレントゲンを撮ってもらう為に覚えたアラビア語で、「お尻を打った」と言いましたら、男性達がみな恥ずかしそうにして笑っています。

モロッコではお尻と言うのはとても恥ずかしい事だそうですが、誰も教えてくれなかったので得意になって言ってしまいました。骨に異常はなかったのですが、しばらくお休みして出勤すると王様が、「まさえ、もう大丈夫か? 私がマッサージしてあげようか?」とおっしゃって周りの皆様から笑われました。

それから5ヶ月後のある日、王様に呼ばれ、「まさえの娘はオーストラリアにいますね。もし良かったらモロッコにも良い学校があるし、アメリカンスクールもあるのでこちらに呼んだらどうか」と言って下さいました。

他にも色々と言って下さったのですが、私の英語力ではここまでしか分からなかった。「学校は1年ですので終わったら考えたい」とお答えしました。

しばらくするとまた呼ばれて、同じ事をおっしゃいました。

3度目に呼ばれた時、「アメリカンスクールは月謝が高いので」と言いましたら、ノープロブレム、と言って下さいました。

この時も後から聞いたのですが、まさえは王様と親しくし過ぎると奥様達が言っていたそうです。皆さんは英語が分からないので、何を話しているのか分からないのでそう感じたのでしょう。