【前回の記事を読む】15歳の娘に母からの急な連絡「1週間後にバンコクへ行って!」

母の日記より【1987年7月モロッコの日々】

出発前に、モロッコはフランス語だと聞かされ、トイレはどこですか、だけ習って出発しました。

ビジネスクラスでお隣に座っていたスイス人から、おはよう、こんばんは、のフランス語を習い、お寿司屋さんで作っていただいたお寿司を差し上げて喜んでいただきました。前方にトイレのマークが見えているのにCAさんに、「ウーソンレートワレット?」と初めてフランス語を使ってみました。

カサブランカの空港に着き、ドライバーのお迎えで、車でモロッコの首都ラバトのホテルに到着。しばらくはここで暮らすそうです。

次の日、早速王様にご挨拶。

夏でしたのでスケラットの海辺の宮殿にJaidyさんと一緒に出掛け初めて王様にお目にかかりました。想像していたよりずっと素敵な方で一安心しました。

私の仕事始めは、カサブランカで開催される王様のバースデーへの出席です。

ドライバーと一緒に宮殿に向かいましたが、数百メートル手前から赤いジュータンが敷かれ、沿道にはたくさんの人達が。パレードの為に集まった人々で埋まっている所を車で走り、初めての経験に鳥肌が立ちました。

宮殿の中に入り、私のお部屋はフィリピン人のナース3人と同室で、畳二畳ぐらいのシャンデリアに大きなソファーが置いてあり、ただただびっくり。

フィリピンの同僚と王様と旧ユーゴスラビアのドクターだけが英語ができたので、色々中の事を説明して下さいました。外は国中あげてのお祝いのイルミネーションがとても綺麗。

夜のパーティーには各国からいらした1000名ぐらいの方が参加されていました。王様の側近の方達は民族衣装の正装をし、外国からの要人は素敵なドレスでそれはそれは豪華な事。まるで物語の中のようでした。

着物姿はもちろん私1人。皆さんから、「Beautiful!」とお褒めの言葉をいただきました。日本の着物はどんなドレスよりも目を惹きました。