地球の馬鹿野郎 平成二十三年四月二日掲載

世界中の科学者に聞きました。人類史上最高の発明・発見は何か? 答えは「火」ではなく「電気」でした。中学生に「想像してごらん、電気のない生活を……」と問いかけます。

朝、目覚ましが鳴らず、ご飯は生。朝シャン後、ドライヤーが使えずうちわで乾かす。そんな想像しがたい生活が現実にやってきました。寒い曇りの日、中学生は授業中にウィンドブレーカーを上下着て、窓際に身を寄せ合って停電をしのぎました。

この世の中に当たり前のことは何一つない。空が青く夕焼けは赤く、雲は空に浮かび、やがて雨が降り、川が流れる。月は満ち欠け、その月の引力で潮が満ち引く……。地球を含め、自然そのものが神秘です。

その中で最も神秘で奇跡的なことは、今自分が生きていることです。今回の震災で、できの悪い我が子に、「勉強なんてできなくてもいい」「生きてるだけで百点満点」「生きてるだけで丸もうけ」と言い、我が子を抱きしめたくなった母親はいなかったでしょうか。

スーパーの蛍光灯が半分でも慣れたら十分見えます。今までが明る過ぎたのです。被災者の心に積もったがれきを一つ一つ取り除き、明かりをともそう。

でもやっぱり叫びたくなる、地球の馬鹿ヤロー。

初日の出に復興支援を考える 平成二十四年一月九日掲載

一昨年は日の出前に元日史上初の部分月食が、昨年は金星と新月直前の細い月が大接近して見えました。今年の元日は朝には見えない上弦の月だったので、ひたすら初日の出を待ちました。しかし、赤城の裾野にはうす雲がかかり、七時五分にやっと雲の合間から真っ赤な太陽の輪郭がわずかに見えただけでした。

今年の初日の出は雲にさえぎられ、一瞬光が差したと思ったら、その後も雲に入ってなかなか見られませんでした。元旦早々の地震とともに、震災後の復興の大変さを暗示しているようにも思えました。家族を失い、故郷を離れて暮らす沢山の人を思うとき、正月をコタツに入ってぬくぬくしている自分が情けなく思います。

去年の計画停電で電気の大切さを初めて実感しました。しかし、「喉元過ぎれば熱さを忘れる」ではいけません。我が家でも節電のために、玄関灯の電球を取り外していましたが、真っ暗な玄関から家に入ることが淋しく感じられました。

そこで明るいのに消費電力が四ワットのLED電球を買いました。その結果、節電と家庭の温もりを両立できました。LED電球のような一石二鳥、三鳥の復興支援を考え出す知恵を、日本人は必ず持っていると信じます。