私 「そうでしょう。すごく偉い人なので、私の仕事がうまくいって喜んでもらえれば私も嬉しいし、出世もするかもしれない。でも何か失敗すれば私は会社を辞めるか、家族のために別の小さな会社でスコップを持って働かなければならないかもしれない」
CA「まあ、大変なのね。何かお役に立てることはあるかしら?」
私が少し前に機内誌でこの便のフライト・ルートを見ていたとき、この便はアンデス山脈の山頂に存在する有名なインカ帝国時代の遺跡、マチュピチュの近くを通過するようでした。そこで、
私 「この飛行機はあの有名なマチュピチュの近くを通過しますよね」
CA「ええ、その通りですけど、それがどうかした?」
(以下は私の希望でした)
私 「ボスはシビル・エンジニアだけど、有名なマチュピチュにはエンジニアとして以前より大変興味を持っていました。しかし今回は時間がなくて訪れることができなくてとても残念に思っています。この飛行機はマチュピチュがよく見えるように少し近づいて飛んでくれることはできませんか。もしそうなったらボスは大変喜ぶでしょうし、私も大変助かります」
CA「わかったわ、ちょっと待ってて、機長に相談してくる」
そう言ってCAは機長のところへ向かって行きました。数分後に戻ってきたCAは
CA「機長はOKしてくれたわよ。もうすぐ見えてくるから準備して」
私 「本当ですか! どうもありがとう」
私はすぐに副社長の席へ行き、状況を説明してビデオカメラを預かり、自分のカメラも準備して、窓際の席に移って待機しました。そして間もなく機長から機内放送がありました。
機長「まもなく有名なインカの遺跡、マチュピチュの上空に差しかかります。右側の窓からご覧ください」
機内放送のすぐあとに写真ではよく見たことのあるマチュピチュの遺跡が見えてきました。そのときに機長がとってくれた行動はまさに驚きでした。というのは、高度を少し下げたかと思うと、なんとその周囲を旋回し始めたのです。百人以上の乗客全員大騒ぎで、写真を撮ったりして大喜びでした。
三回目の旋回中、機長から「満足されましたか」と機内放送があり、私がCAに「もう十分です。どうもありがとう、と機長に知らせてください」と伝えたところ、機は通常の飛行ルートに戻り、ペルーの首都リマへ向かいました。
私はCAに会いに行き、大きな感動と感謝の気持ちを伝えました。そして、「今回のように三回もマチュピチュの周囲を回って飛行することはあるのですか」と聞いたところ「ときどき近くまで寄って行くことはありますが、周辺を旋回したのは今回が初めてです」とのことでした。