第一章 急激な進行 首から下が動かない

【12月25日】

6時半に私は目が覚めた。

「あれ?」。

妙な違和感があった。いつものように起き上がることができない。手も足も思うように動いてくれない。手首、足首に20キロの重しがついているようだった。何とか腕を持ち上げて枕元のスマホを取り、別の部屋にいる夫に「すぐに来て」とメールをした。普段はメールでも電話でもすぐに見ない夫が、飛んできたから驚きだ。何かを感じたのだろうか、近くの総合病院に行くことにした。

すでに歩いてトイレに行けなくなっていて、赤ちゃんのように這って行った。それから渾身の力をもってして着替えをした。いつもの3倍は時間がかかったと思う。一晩のうちに私は普通に歩けなくなっていた。玄関まで這って行き、5年前に亡くなった義母のカートを使い駐車場まで行き、夫に助手席に押し込んでもらった。

10分ほどで到着し病院の玄関前に車をつけてもらうが、ほんの2メートル足らずなのに自分では歩いて行くことができない。看護師さんが気づいて車椅子を持ってきてくれた。まずは内科の診察室へ。63歳で体が動かなくなったといえば、脳溢血を疑われる。そ

の後、整形外科を受診する前に採血に車椅子で行く。採血が終わり、トイレに行きたくなった。車椅子から便器に乗り移ることは朝の段階ではできた。病院のトイレには掴まるバーがついている。便器には何とか座れたが、その後立てなくなってしまった。

家でトイレに行ってから3時間しかたっていない。みるみる筋力が落ちていく。いったいどうなっているのだろうか。看護師さんを呼び、3人がかりでズボンを上げてもらい、車椅子に落ち着いた時には疲れきっていた。