プロローグ 新旧マンションの現状変革の時代がすぐそこに……
二〇一九年四月新築マンションの取引件数が減少し始めたとの報道があった。その多くは駅近の物件か超高層マンションのことだ。成長の流れは平成不況と言われる間も続いていたのに、今のマンションの資産価値はこの駅近と高層マンションであること、そのうえ築後一五年までと厳しい。令和になった今も同じだ。
ところでそれ以外の物件は建っている周囲の環境(役所が近い、学校・幼稚園があるなど)、部屋の広さ、駅からの距離、この三点で価値が決められている。出足からマンションの現状を書くことになったが、皆さんの住まいは、一戸建て・アパート・マンションとさまざまなのに、内容がマンションに特化してしまい、恐縮である。
ところで、二〇二◯年当時、日本では、六六六,五万棟のマンションが実在していて、国民の一〇パーセントの方がマンション生活をしているデータが報告されている。また、それらは六大都市を中心に、集まっている。本書は、そういったマンション生活をしている多くの方に知ってもらいたいマンションの管理について、実際に資格を取得した私こと、Jが、それまでの経過や勉強してきた過程での出来事、勉強方法、資格取得のメリットを含めて伝える作品にと思っている。
Jは四五年前に今のマンションを買った。今二〇二二年で八十歳になるので、三五歳の時、買ったことになる。この物件は友人の紹介によるものだ。その友人はマンションの施工を行う中堅マンションの会社に転職していて、その前はJと同じ化粧品会社にいたので知り合いだったのだ。友人は会社に勤めながら勉強して宅建主任資格を取ったあと転職していた。その後のマンションブーム到来で、その点Jより先見の明があったのかもしれない。会社は別々になったが時々会い、呑んでいた。
そのころJは駅近くのアパートに住んでいたが、電車が通過するごとに鉄粉が舞うところで一日も早く引越ししたいと思っていた。友人には駅から歩いて行ける距離内で良い物件があれば紹介してほしいと頼んでいた。そしてJが三五歳の春、紹介されたのが今のマンションだった。
外観は白で統一され六階建て四〇所帯の小型の物件で、施工するのが友人の勤めている会社だった。駅から少し遠かったが学校・幼稚園・市役所が徒歩圏内にあり、家にいる時間の長い奥さんには好立地といえた。また近くに河川敷があり気分転換には最高だ。購入予定の一階の庭は地面より二メートル近く高くなっていて、大いに気に入ったのを覚えている。子どものころ、Jが育った家には、狭いが鶏が二羽、四つ目の犬が一匹、仲良く遊んでいたのを覚えているので、庭のあるところを条件にしていた。
これらを満たしていて施工主が友人の会社でもあり信頼し、奥さんとの相談を始める。J自身、お金はすべて奥さん任せなので決定権は奥さんにある。お互いの親には金のことは言えないので、自分たちだけで頑張ることになる。国もサラリーマンには生命保険と銀行の借り入れをセットにマンションの購入を後押ししていた。その後購入契約をし、頭金を支払う。