数日が経ち、彼女からメールが入った。

『来週の日曜日。上京できますか?』

『なんとか土曜日に全て作業を片付け終えれば大丈夫だよ』

『じゃあ、夕方六時に横浜駅待ち合わせで』

『分かった』

『その時はラフな格好じゃなく、少しおしゃれな服を着てきてね』

(おしゃれな服?)と不思議に思ったが、

『適当に探しておくよ』と返した。

日曜日。横浜駅の改札口の前で待っていると、彼女がいつもとは違う出で立ちで向こうのほうから歩いてきた。透明感がある服を着て、ばっちりメイクも決め、照れくさそうに聞いてきた。

「どうかなあ? アラフォーのおばさんがこんな恰好して。似合ってる?」

「似合ってるもなにもびっくりしたよ。とてもきれいだよ。二十代に見えるよ」

「そう? ホントにそう思ってる?」

「バレた? でもお世辞じゃなく似合ってる」

「ありがと。じゃあ、行こうか」

「行こうか、って一体どこに?」

「ついてくれば分かるわ」

横浜駅から別の地下鉄に乗り、四つ目の駅で降り、歩いて十分、辺りも薄暗くなり夜の活気ある酒場に入り、お目当てのおしゃれな店に着いた。そこは鉄板焼きで有名なステーキ専門店だった。

「ここ高いんじゃないの?」

「大丈夫。そう言われると思って、ゲストを呼んでるから」