エッセイ 詩 哲学 2022.06.07 詩集「点滅」より3連 詩集 点滅 【第5回】 青山 修万 幸せとは。人生とは。 幽体離脱を体験、仏教哲学に親しんだ著者が、 新型コロナのまん延を機に様々なテーマについて自在に書き留めた、 withコロナ時代のための詩集。 「パンデミック」「かんせん」「正常性バイアス」「テレワーク」「ボランティア」「自己責任」「幽体離脱」「点滅」「おもてなし」「時空」「生きる」「空(くう)」など、162篇を収録。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 本記事は、青山修万氏の書籍『詩集 点滅』(幻冬舎ルネッサンス新社)より、一部抜粋・編集したものです。 【前回の記事を読む】詩集「点滅」より1連 引きこもり 男は、三年ぶりに家から外に出た。 殆どの人は、死んでいた。 しかし、引きこもりと言われた人達は 生きていた。
小説 『再愛なる聖槍[ミステリーの日ピックアップ]』 【新連載】 由野 寿和 クリスマスイヴ、5年前に別れた妻子と遊園地。娘にプレゼントを用意したが、冷め切った元妻から業務連絡のような電話が来て… かつてイエス・キリストは反逆者とされ、ゴルゴダの丘で磔はりつけにされた。その話には続きがある。公開処刑の直後、一人の処刑人が十字架にかけられた男が死んだか確かめるため、自らの持っていた槍で罪人の脇腹を刺した。その際イエス・キリストの血液が目に入り、処刑人の視力は回復したのだという。その槍は『聖(せい)槍(そう)』と呼ばれ、神の血に触れた聖(せい)遺物(いぶつ)として大きく讃えられた。奇跡の逸話(…
小説 『小窓の王』 【第4回】 原 岳 線香を取り、火をつけて手を合わせる。葬儀の時も同じ遺影だった。屈託なく顔を崩した、おおよそ山屋とは思えない素直な笑顔。 そろそろ地図上の赤い印に近づいたと見上げると、長倉と書かれた表札がある。門の前まで進み、その奥に延びる階段の、その奥の玄関戸を見つめる。安っぽい焦げ茶のトタン戸にデコボコとつけられた紋様を眺め、その中央に設えてあるドアノブをまた、眺める。呼び鈴は門柱に設えてあるが手は伸びず、結局は顔を背け、所在なく辺りを見まわす。視線の先には、軒を連ねる民家の合間から裏手の里山がある。里山は相変わらずほのかな緑…