この事件から遡ること一年前の二〇〇四年二月、高倉譲二は南アフリカのヨハネスブルグに着任した。定年を三年後に控えている身である。このときマキシマ株式会社は倒産寸前の状態で、定年前の最後の奉公というにはあまりにも厳しい環境にあった。七洋商事は日本のタイヤメーカー『ニホンタイヤ』の販売権を南アフリカとその周辺国で保有している。その販売力の強化のために、現地でタイヤ販売とサービスを実施していた会社を二〇…
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