両親が住む場所は、家でもなくアパートでもない。寮の管理人。浅いため息が漏れた。その建物の入り口近くにある僅かなスペースで寝起きしている。食事は寮に住む人のために母が作る料理の一部。その仕事も、失うことになる。兄ちゃんは現地採用だから戻ってきてくれそうにもない。でも転職を考えるかもしれない。先々週、孝一が念願のプロポーズをしてくれたのに。心は舞い上がり、体は重力を感じなかった。こぶしを突き上げて垂…
[連載]サトゥルヌス
-
小説『サトゥルヌス』【最終回】花田 由美子
遠い国の神話でしかなかった絵画だったが…ここに有る「有り得ない残酷さ」とは
-
小説『サトゥルヌス』【第9回】花田 由美子
子どもができ幸せの絶頂の中、一本の電話…「かあさんが徘徊するようになった」
-
小説『サトゥルヌス』【第8回】花田 由美子
子どもを養うため、涙ながら夜の業界へ…「踏ん張るんだよ」
-
小説『サトゥルヌス』【第7回】花田 由美子
赤ちゃんを預ける場所も貯金もない。ある日仕事から帰ると…
-
小説『サトゥルヌス』【第6回】花田 由美子
「イジワルは必ずいるよね?」優しいおじいちゃん、さすがの返答
-
小説『サトゥルヌス』【第5回】花田 由美子
「ジョシコオセイナンダネェ」悪夢のような記憶がよみがえる
-
小説『サトゥルヌス』【第4回】花田 由美子
一人じゃ絶対無理。見つからない彼に乱れ狂う心臓。アタシ、ヒトゴロシになるの?
-
小説『サトゥルヌス』【第4回】花田 由美子
それでも、彼に言えない妊娠判定...。アタシ、人生諦めなきゃなの?
-
小説『サトゥルヌス』【第3回】花田 由美子
「自分の叫びで目が覚める深夜」…高卒の学歴コンプレックス
-
小説『サトゥルヌス』【第2回】花田 由美子
恐ろしい…子ども「このゆびがないひと」と自分の小指を差して
-
小説『サトゥルヌス』【新連載】花田 由美子
「関わってはいけない」暴力団員っぽい男が園児を送り迎え!?