第2章一おんなは枕の端にのせた頭を左にかしげ静かな寝息をたてていた。薄目をあけているような、いないような、俗世の偏見や美醜を超越した仏像のような寝顔だった。大きくはだけた浴衣の胸元からは、こころもち外に垂れた左の乳房がのぞいていた。田島中尉は、目覚めたとたんに哀しい現実と向き合わなければならないおんなの、せめてもの夢路を破らないよう、そっと床を抜け出し、捲れあがっている薄い掛け布団をかけてやった…
[連載]泣いてチャップリン
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小説『泣いてチャップリン』【第31回】森 毅
見かけによらず、ほんとに優しいのね
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小説『泣いてチャップリン』【第30回】森 毅
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小説『泣いてチャップリン』【第29回】森 毅
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小説『泣いてチャップリン』【第28回】森 毅
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小説『泣いてチャップリン』【第27回】森 毅
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小説『泣いてチャップリン』【第25回】森 毅
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小説『泣いてチャップリン』【第24回】森 毅
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小説『泣いてチャップリン』【第22回】森 毅
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小説『泣いてチャップリン』【第21回】森 毅
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小説『泣いてチャップリン』【第20回】森 毅
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小説『泣いてチャップリン』【第19回】森 毅
血も涙もない世紀のテロリスト
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小説『泣いてチャップリン』【第18回】森 毅
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小説『泣いてチャップリン』【第17回】森 毅
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小説『泣いてチャップリン』【第16回】森 毅
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小説『泣いてチャップリン』【第15回】森 毅
神はサイコロを振らない
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小説『泣いてチャップリン』【第14回】森 毅
私は、天道には是も非もないと思う。
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小説『泣いてチャップリン』【第13回】森 毅
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小説『泣いてチャップリン』【第12回】森 毅
『敵国外患なければ国亡ぶ』
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