廊下で障子の陰から様子を窺っていた女将が、怯えて竦んでしまったその一人に駆け寄り、抱きかかえ座敷の隅へ這いつくばるように身を寄せた。木坂の前に転がってきたお銚子からは、冷えた酒がコトコト音をたてて零れでていた。木坂は膝を二歩ばかり進めてそれを拾い、傍らに立てていった。「少佐殿。これでも、わたしも軍人の端くれです。短刀で威(おど)されたからといって一人おめおめ戻ることはできませんので、突くなど斬る…
[連載]泣いてチャップリン
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小説『泣いてチャップリン』【第11回】森 毅
むん、気にいった。一杯やろう!
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小説『泣いてチャップリン』【第10回】森 毅
いいだろう、できるものならやってみろ!
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小説『泣いてチャップリン』【第9回】森 毅
「皇軍の威信にキズをつけぬため」
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小説『泣いてチャップリン』【第8回】森 毅
それともあなたは、日本が今のままでいいとでもお考えですか?
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小説『泣いてチャップリン』【第7回】森 毅
まったく笑っちゃいますよ、ほんとに。
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小説『泣いてチャップリン』【第6回】森 毅
平和ボケした国民を覚醒せしめるため
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小説『泣いてチャップリン』【第5回】森 毅
他人からみれば狂気の沙汰と嗤われても無理ない計画
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小説『泣いてチャップリン』【第4回】森 毅
「むう……で、その決行日も決まっているのかな?」
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小説『泣いてチャップリン』【第3回】森 毅
このまま尾行をつづけても、ああ、ちくしょう!
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小説『泣いてチャップリン』【第2回】森 毅
ひょっとすると、きみもそれで帰ってきたのかな?
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小説『泣いてチャップリン』【新連載】森 毅
衛兵がバネ仕掛け人形のように軍靴を踏み鳴らして敬礼した。
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