【前回の記事を読む】「似たようなことやってんだろ。開き直るな。何だ、その格好は」――少女が制服を脱げなかった理由とは「幾らになった?」頬の氷が解け始める頃、厨房を覗いて言った。煙が消えた店内は、以前より煮詰めた飴色にくすんでいる。「四百くらいだな」彼は傷だらけのシンクを磨きながら、足元に忍ばせた金庫を眇(すが)めた。「四百か……あと五十万。そうしたらここを出る。ねえ、ちゃんと守ってよ。何を言われ…
[連載]猫の十字架
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小説『猫の十字架』【第4回】なかはら 真斗
「本島で野たれ死んだ方がいい」本島から隔離された島。本島で生きられない流れ者たちの終着点。それでも彼女は――
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小説『猫の十字架』【第3回】なかはら 真斗
「似たようなことやってんだろ。開き直るな。何だ、その格好は」――少女が制服を脱げなかった理由とは
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小説『猫の十字架』【第2回】なかはら 真斗
厨房に入った途端、談笑していた常連の目が変わった。酔ったふりの下に潜む異様な視線に戦慄する
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小説『猫の十字架』【新連載】なかはら 真斗
ごみの城と呼ばれた魔の孤島であたしは願う、いつか、こんな連中を見なくて済む世界へ、薄い霧の向こうへ、本島と呼ばれる場所へ