玄関では母が大の字になって眠っていた。それを物のように跨ぎ、服を着替え、台所の蛇口から出る糸ほどの水で顔を洗った。ついでにアスピリンをもう一粒噛むと、トイレに行儀良く並んだバケツのうち、二つを持ち出した。これからが本格的な朝の儀式だ。歪な階段のみが移動手段の高層住宅では、毎日大渋滞が起きる。この時間帯はとくに忙しなく、通学中の子供たち、中央広場の集会所に向かう老人、家事に奔走する女たちが道を譲り…
[連載]猫の十字架
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小説『猫の十字架』【第7回】なかはら 真斗
組合費を滞納し、水を使わせてもらえない……酒と男に溺れ、玄関で大の字になって眠る母を横目に、少女は毎日濁った井戸水を汲むしかなく……
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小説『猫の十字架』【第6回】なかはら 真斗
見知らぬ男に担がれながら帰ってきた母。「永遠につぐなって生きろ!」好きであんたの子供に生まれたわけじゃないのに
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小説『猫の十字架』【第5回】なかはら 真斗
頭上から滴る"魔の水滴"――「ごみの城」の天井の裂け目から見えた、水源の正体は…
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小説『猫の十字架』【第4回】なかはら 真斗
「本島で野たれ死んだ方がいい」本島から隔離された島。本島で生きられない流れ者たちの終着点。それでも彼女は――
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小説『猫の十字架』【第3回】なかはら 真斗
「似たようなことやってんだろ。開き直るな。何だ、その格好は」――少女が制服を脱げなかった理由とは
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小説『猫の十字架』【第2回】なかはら 真斗
厨房に入った途端、談笑していた常連の目が変わった。酔ったふりの下に潜む異様な視線に戦慄する
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小説『猫の十字架』【新連載】なかはら 真斗
ごみの城と呼ばれた魔の孤島であたしは願う、いつか、こんな連中を見なくて済む世界へ、薄い霧の向こうへ、本島と呼ばれる場所へ