【前回記事を読む】彼は私の差し出した瓶の酒をラッパ飲みすると、虚ろな顔で湯の中に滑り込み、沈んだまま浮かんでこなかった…そんなことがあってから、腹水で膨(ふく)らんだ腹を抱えて、憂いに沈むKの顔に死の翳(かげ)が兆(きざ)した。顔が土色になり、肌もザラザラになっていた。それによろけてよく転(ころ)んだ。それでも恐ろしい勢いで酒を飲み、ついには私の顔も識別できないほどに意識を濁(にご)らせ、焦点の…
[連載]荒野の果て
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エッセイ『荒野の果て』【第5回】田中 敏之
道ですれ違っても無反応になった友達は家にこもりきりに…ある日戸が開け放たれ、葬式出入りが始まって、死んだことがわかった。
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エッセイ『荒野の果て』【第4回】田中 敏之
彼は私の差し出した瓶の酒をラッパ飲みすると、虚ろな顔で湯の中に滑り込み、沈んだまま浮かんでこなかった…
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エッセイ『荒野の果て』【第3回】田中 敏之
親不孝のかぎりを尽くし母を泣かせた私。自分の死を予感するようになり母の骨を手に入れようと姉に頼むと…
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エッセイ『荒野の果て』【第2回】田中 敏之
母を拒絶し厄介払いにして、酒を飲む日々。母のことごとを、ほとんど無感覚に受け流していった。そして母は肺炎を患い...
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エッセイ『荒野の果て』【新連載】田中 敏之
小春日和の下、山際の小道を駆け上がりはじけるような声をあげて笑う母――しかし、それが私の覚えている母の最後の笑顔となった