【前回の記事を読む】潮を読み、帳面を開き、親子で語らう――花房藩・釣り役の家に満ちる団欒のあかり「お台所お借りします。スズキを切り分けなきゃいけません。ええ、でも鯛の事はお粂さんには言ってませんから」一人喋りながら台所に向かう太平の後ろ姿に、昨夜の五月の言葉が思いだされた。「太平さんて少し変ってるんです。思った事が直ぐに口に出てしまうんです」「おやまあ」「うむ」会ったその日にその事は分かっている…
[連載]花房藩釣り役 天下太平
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小説『花房藩釣り役 天下太平』【第5回】石原 しゅん
寝込んでいる彼女が体を起こして、近くまで来てくれた。「ごめんなさい、お邪魔ですか?」嬉しくないはずもなく…
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小説『花房藩釣り役 天下太平』【第4回】石原 しゅん
潮を読み、帳面を開き、親子で語らう――花房藩・釣り役の家に満ちる団欒のあかり
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小説『花房藩釣り役 天下太平』【第3回】石原 しゅん
網元の助言に揺れる太平の心、鯛を追うかスズキを狙うか船上で交わる思惑
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小説『花房藩釣り役 天下太平』【第2回】石原 しゅん
房州で覚えた「鯛のしゃくり釣り」。半月にしなった竿にかかったのは…
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小説『花房藩釣り役 天下太平』【新連載】石原 しゅん
身分は歴とした武士だ。もっとも、釣りと料理をこよなく愛する本人にその自覚はない。