俳句・短歌 短歌 2022.05.31 短歌集「茜色の空」より三首 茜色の空 【第9回】 有波 次郎長 人間の美しさとみにくさ、コロナ禍での生活、忘れられないあの女性……。 ささやかな日常を詠った誠意ある作品、幅広く物事を取り上げ、「今」を鮮烈に詠いあげた短歌集。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 死ぬことも左程大事なことでなし他人事としてシニアは語る ただ一人家でテレビを見るよりも施設の人の気配を愛す 古希越えのシニアの会話久々に楽しく聴いて耳に染み入る
小説 『泥の中で咲け[文庫改訂版]』 【第7回】 松谷 美善 母さんが死んで、一人で生きていかなければならなくなった。高校中退後、月6万円での生活。お墓も作れず母さんの骨と一緒に暮らした 一日中、使いっぱしりをして、クタクタになって部屋にたどり着き、買ってあった少しの菓子を貪り食うのもそこそこに、重たい泥のようになって、布団代わりの寝袋に潜り込む。小さい頃から運動習慣のなかった俺には毎日が、筋肉痛が出るほどキツかった。毎朝、四時に目覚ましをかけて、まだ眠くてフラフラしながら起きる。風呂のついている部屋は、最初からはもらえない。申し訳程度についた小さなキッチンの流し台で、頭を洗って…
小説 『親友を推してるヤバいやつの彼女』 【第4回】 ほいっぷ 「北田、俺と付き合ってくれ」──天才男子の“提案”は、恋ではなく取引だった 【前回記事を読む】「俺に彼女がいればダブルデートという名目で一緒に行動ができるし、一彦の反応を間近で見ることができる」「なんとか言ったらどうなんだ」「何を言えと」「何かあるだろう、返事とか」「何か……頭の良いやつはヤバいことを考えてるんだなと思いました、まる」「ふざけてるのか?」「ブーメランって知ってる?」言ってから思った。きっと西海なら知っている。たとえ話のブーメランじゃなくて、どこかの先住民…