俳句・短歌 短歌 2022.05.31 短歌集「茜色の空」より三首 茜色の空 【第9回】 有波 次郎長 人間の美しさとみにくさ、コロナ禍での生活、忘れられないあの女性……。 ささやかな日常を詠った誠意ある作品、幅広く物事を取り上げ、「今」を鮮烈に詠いあげた短歌集。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 死ぬことも左程大事なことでなし他人事としてシニアは語る ただ一人家でテレビを見るよりも施設の人の気配を愛す 古希越えのシニアの会話久々に楽しく聴いて耳に染み入る
エッセイ 『良子という女[注目連載ピックアップ]』 【第7回】 野村 よし 「あなた、私は幸せでした」…妻は状況を直感していたのだ。私は言葉を返すことができず、妻から離れた。 【前回の記事を読む】「お母さんが嘔吐を繰り返してる。いま救急車出発した」娘からのメール。私は結婚式の帰りの新幹線の中で、酒を呑んだし、雨だし…私の心臓は躍りだした。先生はAという御自分の名札を見せた。若い先生だった。A先生は低い声でゆっくりと話した。それが私の耳には聞き取りにくかったが、要は、「腸閉塞は確実にあります」「問題は腸閉塞が何を原因として起こっているか、です」「一番考えられるのは“大腸…
小説 『北満のシリウス』 【最終回】 鎌田 一正 ドス黒い雲が迫る満洲の空と、花園街の明るい食卓──配給下でも笑顔を咲かせた一家の生活がそこにあった 【前回の記事を読む】「待ってくれ…あんたひょっとして『北満のシリウス』か? 百回近い決闘でも、一度も負けたことがないっていう…」「本当……。こっちは、こんなに天気がいいのに……」「気のせいか、その雲が、こっちに動いとるような気がしての……」「でも、普通、曇って西から東へ動くんじゃ……」「何か、普通ではないことが起きておるような気がしての……」松浦洋行の下のキタイスカヤの路上では、アイザックと雪舟…