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薬疹には注意

私がUAE(アラブ首長国連邦)でセメント工場新設工事に携わっていたときのことです。

ある日、手のひらにポツンと一つ、本当に小さな水疱ができました。最初は気にもならずそのままにしていたのですが、二、三日の間に両手の手のひら全体に水疱が広がり(不思議なことに手のひら以外には広がりませんでした)、仕事にも日常生活にも支障が出てきました。

そこで私は工事場所からほど近い小さな地方病院に行き、診察を受けたのですが、そのときの医師(多分インド人)の言葉にはびっくりしました。「これはなんだ?」と私に聞いてきたのです。私は「それがわからないからここへ来たんだ。何か有効な薬はないのか」と問い返したところ、医師は何かブツブツ言いながら今度は少し時間をかけて見ていましたが、やがて処方箋を書いて「この薬を飲んで様子を見ましょう」ということになりました。

私は薬局で飲み薬を受け取り、その日から飲み始めたのですが、その翌日から今度は両腕の付け根から手首まで、猛烈な薬疹を発症してしまいました。私は二度と同じ病院にはかかりたくないものの、薬疹はどんどんひどくなってくるので困っていたところ、ちょうど日本の外務省から派遣されていた巡回医の診察を受ける機会にめぐまれました。

その医師の診断は、手のひらの水疱はこの地方で稀に見られる風土病と思われる。両腕のトラブルは薬疹に違いないだろう。飲み薬はすぐやめてください、との忠告を受け、塗り薬を渡してくれました。

その結果十日後には手のひらの水疱も両腕の薬疹も完治しました。

教訓

このときは、初めての外国勤務ということもあって、事前に自分なりにいろいろ調べてはいたのですが、現在と違ってインターネットなどもなかったため、わからないことが多くありました。薬疹については日本に帰国後、会社の顧問医師に聞いたところ、中近東の病院などで処方される飲み薬には副作用が強いものが多いので、十分注意するように忠告されました。

それ以後、海外勤務する際には、胃腸薬や風邪薬を含め、ほとんど自分で対応できる病気の薬品は日本で調達することにしました。私の場合、アレルギー体質のため、日本で処方された薬でも、風邪薬などで抗ヒスタミン剤、ピリン系剤の含まれている薬には薬疹を発症してしまうので注意しています。

友人の中にはインドの工事で足を負傷したとき、化膿防止に病院でもらった抗生物質薬が日本では考えられないほど強く、長く免疫不良などの体調不良に陥ってしまったケースもあります。外国で薬を服用するときにはインターネットなどで十分調べ、確認しましょう。