小説 絵本・漫画 絵本 2022.05.14 不思議な力が宿るという「重なりの石」…心を旅する絵本 「重なりの石」は私の気持ちと重なり合っていく それから私はそれを持って軽く目を閉じる そして自分の中の深い、深いところに降りてゆく そこは、私だけの平和で穏やかな湖がある場所
小説 『恋愛配達』 【第15回】 氷満 圭一郎 配達票にサインすると、彼女は思案するように僕の顔を見つめ「じゃあ寄ってく?」と… 「本業は酒屋で、宅配便はバイトです。ところでさ」ぼくはたまらず差し挟まずにはいられない。「さっきからなんなの、どっち、どっちって?」「だってあなた、ドッチ君だもん」「何、ドッチ君て?」すると瞳子さんは、ぼくの胸に付いている名札を指差した。これは配達者が何者であるのか知らせるために、運送会社から貸与されているものだ。ぼくの名前は以前病室で宴会を開いた時に教えていたはずだが、漢字までは教えていない。…
小説 『ヒスイ継承』 【新連載】 守門 和夫 発明好きなおじいちゃん。いつも失敗してるけど今回はなにやらいつもとは違っていて…!? 秋が深まり、イチョウの葉が輝くような黄色になった、ある土曜日の朝のことだ。川越市のカルガモ小学校三年生の星野波奈(ほしのはな)は、電話の呼び出し音で目が覚めた。時計を見ると、まだ六時になっていない。だれも出ない。しかたないので一階に下りて、居間の電話の受話器を取り上げた。「波奈、すごいよ! 眠っているうちに、本が読めてしまう装置を発明したよ」「ほんと?」「今すぐ、そっちへ行くよ」波奈が返事をしな…