数時間後、病院のベッドの上で目を覚ましたところ、狭い病室の天井からポツンとはだか電球が一つぶらさがっており、あたりを薄暗く照らしていました。床は土間のままであることが見てとれました。ベッド脇に工事事務所の日本人事務担当者がいて、私を心配そうな表情で見守っていました。そこで私は、上司二人の状況を尋ねたところ、上司二人は打撲やガラスによる怪我を負っているが、命には別状ないこと、一番の重傷者は私であることを知らされました。

そこで私は自分の状況を確認しようと思い、まず目を片方ずつ開けたり閉じたりして目は異常ないことを確認しました。次に両手の指を順番に折り曲げながら同時に両足の足首を動かし、親指を数回こすり合わせた後、膝に多少の打撲はあるものの首や腰などには大きな問題はないことを確認しました。次に深呼吸を数回くり返した結果、内臓にダメージはないものの肋骨が二本折れて(ヒビが入って)いることがわかりました。しかし全体としては軽傷であると判断しました。

そしてそのときは痛さをほとんど感じていなかったため、事務担当者に、工事事務所と日本の本社への連絡の際、「私の怪我はたいしたことはないことが確認できた」と伝えてくれるよう依頼しました。そのあと、私は右の頬に車のガラスによる二列の長い切り傷があり、下あごもザクロのように割れていると教えられ、鏡を借りて確認し、われながらびっくりしました。その頃から急に咳とともに大量の血痰が出始めました。

日本帰国後に私の担当医師に聞いたところ、「あなたは舌にかなり深い傷を負って、相当出血したようだが、ずっと仰向けに寝かせられていたためか、血液が気管の中に流れ込んで、それが咳とともに出てきていたのではないか」とのことでした。肋骨の負傷のため、咳をするたびに激痛が走りましたが、二日後には咳は軽くなりました。そして、私の顔の傷はとりあえず仮縫い? されていました。が、その村の病院では十分な手当てができないということで、ジャカルタの大きな病院で縫い直すことになりました。