俳句・短歌 短歌 2022.05.06 短歌集「茜色の空」より三首 茜色の空 【第5回】 有波 次郎長 人間の美しさとみにくさ、コロナ禍での生活、忘れられないあの女性……。 ささやかな日常を詠った誠意ある作品、幅広く物事を取り上げ、「今」を鮮烈に詠いあげた短歌集。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 終わりなき無限の空洞、流されてただ流されて尚見渡せず 叫んでも何も聞こえずただ一人 聞く者もなし己が心音 戦前の罪を後世の人等には償うことは出来ぬことなり
エッセイ 『遠い夢の向こうのママ[人気連載ピックアップ]』 【最終回】 かおる 身体中、痣だらけのまま着たウエディングドレス。DV夫が腕につけた痕は、結婚式の写真にもはっきり写っていた。 【前回の記事を読む】DV被害に衝動ODで入院。脳細胞の一部が死滅したらしく、言い返す気力も、考える力も、言い訳する思考力も、どこにもなかった。翌日はとても綺麗な教会で結婚式だったが、私の全身は手のひらサイズの痣だらけだった。ドレスから出ていた腕の痣だけ、結婚式の写真にも写っていた。結婚式自体はスムーズに進み、無事に終わり、その後の旅行は特にひどい喧嘩はせず満喫できた。後から聞くと、新婚旅行直前に…
小説 『惰走は駛走に変わる』 【第2回】 大森 是政 「兄さん、馬券は買えてるのかい?」親切心というより、自尊心があふれた男。一押しは7番・ダンジュウロウと言ったが... 【前回の記事を読む】横浜貿易を一時止めた根岸競馬場の熱狂――慶応年間の創設から明治時代の皇族・政財界人を魅了した馬かけ文化とは初日の最終競争である第九競走は、婦人財嚢(ざいのう)競走というものだった。来場している婦人らからの寄付を募って、賞金に上乗せするという趣旨の競争である。競馬会の会員や招待客の婦人は、入場料を免除されている。そのためか奮発してくれるご婦人が多いとの話で、賞金総額は桁違いのも…