【前回の記事を読む】国境超える鉄道旅!足の踏み場もない車内で起きた事件とは…
第一章 米・中米・南米の旅
密輸列車―ボリビア(ビリャソン)→アルゼンチン(ラ・キアカ) 一九七三年二月一七日
十七時二十分にボリビア側の国境の町ビリャソンに着く。列車を降りて歩いてボリビア出国のスタンプをもらい、橋を渡るとアルゼンチンである。通常は入国審査手続きをした後に荷物の検査をするが、ここではまず荷物の検査をし、七、八分歩いたところに入国審査を行う建物がある。
荷物の検査を無事終わり、入国審査所に着いたのが十八時十分ごろ。でも、アルゼンチンはボリビアとの時差が一時間あるので、アルゼンチンでは十九時過ぎとなる。そして、この入国審査事務は十八時で終了するとの事で、事務所は閉まっている。
その事務所の前にわれわれと同じようにリュックを背負い、ジーパン、長髪の各国の若者が二十~三十人ほど集まっている。その中にオルロの駅でホームに入ってきた列車に乗っていたTもいた。
待っていても埒が明かないので、みなで近くの警察に文句を言いに行く。すると、入国審査事務所に電話をしてくれて、入国審査事務を再開してくれた。入国審査は事務的に姓名、国籍、年齢、職業などをきかれただけで、九十日の滞在許可が得られた。