娘は自分の分身だという毒親の支配の仕方
娘は自分の分身だ、と言うと娘をとても可愛がっているように聞こえる。しかし分身だから何でもさせようとなると話は大きく違ってくる。
「娘はわたしの分身ですから、わたしの言うことは聞かないといけません。それだけでいいんです。わたしが我慢して生きてきたように、娘も我慢して生きていかないといけないし、わたしのことを助けていかないといけないんです」
「わたしは結婚したあとは仕事を辞めて、夫に尽くし、娘はわたしや夫によく従うように育てました」
「離婚の手続きが済んだときは、枷がなくなったのはいいけれど何か支えがなくなったような気がして、めまいのようなものを感じたんです。そのときに、ああわたしにはこの娘がいる、男性はもうこりごりだ、この娘をわたしの支えにして生きていこう、そう思ったんです」
「でも今の夫に出会って、考えを変えました。わたし、男性とうまくやっていけるように成長したんだと思います」
そしてこの母親はこの娘を自分に仕えるようにしつけ、再婚した際には新しい夫にも仕えるように求めたのだ。再婚した夫の子を身ごもっている間に新しい夫が娘に性的関心を示したときでさえ、彼女は娘に夫に仕えることを求めたのだ。お母さんは今お父さんの相手ができなくて苦しいからおまえがお父さんの相手をしなさいと。夫は性的関心を示したものの、セックスの相手として娘を求めることをしなかった。しかし娘は、母に言われたことを果たさなかったということに、長く罪悪感を持ち続けることになる。
自分の分身であるから、娘への要求は大変多く過大で、時にはむごたらしい。一方で、欲しいものを買い与える、出かけたいところに連れていく。喜ばせることにも熱心であった。娘はその罠の中で、母親の言いつけに逆らえなくなっていったに違いない。飴と鞭、母親は計算してそれをしていたのか、それとも娘を喜ばせるのはただ単に言うことを聞く自分の分身へのご褒美だったのだろうか。