俳句・短歌 句集 2022.03.23 句集「八ヶ岳南麓」より三句 句集 八ヶ岳南麓 【第55回】 浅川 健一 八ヶ岳の麓で暮らす医師の、四季折々の俳句集 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 一塊の冬の山なり八ヶ岳 くろぐろと田に水滲む蕗の薹 ひとりづつ呼ばれて起立チューリップ
小説 『「本当の自分」殺人事件[注目連載ピックアップ]』 【第10回】 水木 三甫 ホテルの入口、ためらいは一瞬で、後はただ身を任せていれば良かった。夫と同じことをしているだけだ。 【前回の記事を読む】硬直する体に構わず、若い桃のような頬に唇を当てる。首筋からさらに下へ、新鮮な匂い。しがみついていた彼女の腕の力は抜け…光彦から急な出張が入って帰れないという連絡が入った。淳美は光彦があかねと会うことを確信した。光彦のために自分は尽くしてきたつもりだ。それを裏切ったのは光彦だ。あかねの存在も淳美にとっては大きなストレスになっていた。いつもあかねに操られている自分にうんざりしてい…
小説 『愛[注目連載ピックアップ]』 【第4回】 高見 純代 震災のあとの神戸は恐ろしく大変だった。私はおにぎりを作ったり、泣いてる子どもの面倒をみたり、何でもした 【前回の記事を読む】「人間しか自殺はしないわ。犬や猫は自殺しないもの。自殺って、人間を知るヒントになると思うわ」そう言うと、彼は私から目をそらし、天井を見た。何かをこらえているような固い雰囲気だった。私は本を閉じてバッグにしまった。「僕は今、CNNの仕事で、神戸を取材しているんだ。三年前の阪神・淡路大震災から、一体どうやって、ここまで復興したのかって、世界は日本に注目している。君も震災で被害に遭…