側線の軌條の上に影引きて 手押の貨車がゆるゆる入り来ぬ

 

合図燈の円錐形のうす明り 貨車重々と過ぎにけるかも

 

雨あとの地靄たゆたふ土おもて 箒草ひと本陰引きにけり

※本記事は、2021年5月刊行の書籍『短歌集 蒼龍の如く』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。